分光学は太陽光の観測から始まった。そういう意味で、素粒子論や宇宙論と源流は同じである。
例えば、分光分析装置は、光源・分光器・検出器から構成される。
光源(ランプ)からの光は、太陽光(黒体放射スペクトル)に似ている。太陽光の暗線は、太陽大気中の元素に吸収された跡だ。空や海の青、雲や雪の白、木々の緑、花の様々な色。このような色は、それらを構成する分子による太陽光の散乱だ。
物質に光を当てると、反射(弾性散乱)や散乱(非弾性散乱)をするが、吸収された場合、吸光・発光・蛍光といった現象が起きる。このような光と物質の相互作用を利用して、元素の種類や物質の構造を知ることができる。
だから宇宙観測だけでなく、新しい物質の創製に関わる先端科学の分野で分光分析法が利用される。
現在普及している元素分析(分光分析)法に、原子吸光分析、ICP発光分析、蛍光X線分析がある。光(光子)ではなく電子・イオン・中性子を利用する場合もあるが、ここでは光を利用する場合に限る。現在もっとも感度の良い元素分析法は質量分析であるが、これは電磁場を(分光器として)利用してイオンの質量電荷比から元素の種類を知る方法である。
物質の構造を知るには、物理的・化学的・生物学的な方法がある。分光分析は物理的方法である。化学的方法や生物学的方法は、物質の分離・精製・濃縮に利用される。生物学的方法の多くは研究開発段階であるが、これからの環境技術(生物を利用した資源回収や環境浄化の技術)として期待される。
生物学的分離技術と分光学的元素分析法の組み合わせに、面白いネタ(研究開発課題 and ビジネスチャンス)が転がっているように見える。いろいろ調べていくと、最適な組み合わせが存在する。さて実現できるか?